沖縄に行くと必ず耳にする音楽といえば沖縄民謡です。
沖縄民謡は唄三線といって唄が大切なのですが、三線がなければ始まりません。
沖縄の心「三線」は13~15世紀くらいの琉球王朝の時代に中国から伝わり、形をかえて三味線になっていきました。
三線はビルマニシキヘビの皮を表と裏に使っており、三味線は犬や猫の皮を使用するなどの違いはあります。竿の太さや長さも違い当然音色も違ってきます。
三線はなぜ「さんしん」と呼ぶかと言うと、三本の線(弦)で構成されているので三本の線(さんせん)を沖縄の言葉で「さんしん」というからです。
ビルマニシキヘビを使った「本皮」、本皮とビニール下地の「強化張り」、ビニール張りの「人工皮」の三種類があります。
本皮は音色は良くても乾燥に弱く必ず破れ数年で張り替えが必須、強化張りは破れる心配が無いが音色がこもりがち、人工皮は値段がリーズナブルだが音色がそれなりといった長所や短所がそれぞれ有ります。皮の張り方にもいろいろあります。
だいたいのお店はジャッキを使って木枠の胴に皮を張っていきます。
伝統的なくさびを使用して皮の特徴に合わせてじっくり張っていくお店もありますが現在はとても少なく、私の知る限り沖縄ではもう数店となっています。そして重要なのは竿の木の種類です。
黒檀、縞黒檀、紫檀、ゆし木などありますが、お値段もさまざまです。
堅い木のほうが音色が締まるので八重山黒檀になると何百万なんていう三線もあります。
また、沖縄本島産の黒木はもう事実上は手に入らないようです。(のちにこれを手に入れる事に!)
皮は張り替えられても竿は替えられないので、ある程度の堅さの木がいいと思います。
例えば、ビニール張りの紫檀のものを購入していずれは本皮にするなんていうのもありです。
三線を始めるにあたり、インターネットでとりあえずの三線(人工皮)を購入しましたが、先生に就いて習い始めると三線の音色の違いはなんだろうかと思うようになり、2008年1月に二泊三日で沖縄本島の三線工房めぐりに出かけました。
那覇市、南風原町、沖縄市、名護市など時間の許す限りレンタカーでまわり、三線工房でいろいろな三線を見て回りました。
三線を手に取りながら製作されている職人さんに実際にお話を聞いて、楽器として、また工芸品としての奥の深い素晴らしさも知ることができたのは何よりの収穫でした。
その結果、南風原町で沖縄県産ヤンバルゆし木強化張り、名護市で沖縄県産ヤンバルゆし木(実入り)で上等本皮のくさび張りのものを購入。
その10数年後に本部町で沖縄本島産黒木の上等本皮張りを購入し、最初の人工皮三線は手放しました。
左から、沖縄県産ヤンバルゆし木強化張り(南風原町・みなみ三線店)、沖縄本島産黒木の上等本皮張り(本部町・上原三味線店)、沖縄県産ヤンバルゆし木(実入り)で上等本皮のくさび張り(名護市・上原三味線店)
南風原町・みなみ三線店の強化張りのゆし木の三線は首里ロートン織の胴巻きにして、カラクイ(糸巻き)を黒檀のものに替えました。
名護市・上原三味線店のゆし木(実入り)の三線は首里ロートン織の胴巻き、皮張りは「名工・親泊宗康氏」に張り替えていただいた一番皮くさび張りです。
黒木の三線は、上等な刺繍の胴巻き(ティーガー)でしたが、どうしてもやんばるらしさを醸し出したくて芭蕉布のティーガーに替えました。この落ち着いた雰囲気はやんばるの「情け唄」を爪弾くのに最高の組み合わせです。
「沖縄本島産黒木の上等本皮張り三線」を本部町・上原三味線店で購入した時の画像です。
ほとんどが良質なカミゲン材の竿です。何丁も試し弾きした挙句にショーケースの中の竿を見せてもらい気に入った竿に八分張りの太鼓を部当て(ブーアティ)して作ってもらいましたが鳴りが今一つ。
見かねて店主の上原さんが店内奥からやんばる産黒木の三線を出してくれました。
試し弾きをさせてもらうと、それまでの全てのカミゲン竿では出せない余韻の音色と大音量が!! 即買いでした。
庭に生えていた黒木で製作されたと仰っていました。貴重な三線を譲っていただき感謝の言葉しかありませんでした。
三線についてもっと詳しく知りたい、三線を手にとって弾いてみたいと思った方は、是非とも沖縄に行かれることをお勧めします。
那覇市安里に「沖縄県三線製作事業協同組合」があります。
名工と呼ばれる三線職人さんの作品がずらりと展示販売されています。
知りたいことは何でも教えて頂けますので三線にまつわる知識を得るにはとても良い機関です。
ところで三線を演奏するにはそれ専用の楽譜である「工工四」というものがあります。
練習するときはこれを見て何度も弾いて覚えます。工工四や歌詞だけの本、唄の意味や歴史を綴った本など、沖縄三線や島唄を深く愛するためには書籍の力を借りるのも大切なことです。
また、人前で演奏するのも上達の秘訣でしょう。沖縄民謡ライブは実践的な勉強の場。唄ったり踊ったり肌身で感じて楽しむこと!
琉球民謡を語る上でその唄が生まれた土地に「歌碑」があります。
民謡の数以上にあると言われ、レンタカーで歌碑めぐりをするのは実に楽しいものです。
歌碑の前に立つとよりその唄が好きになります。