初夏の九州撮影行(6)「ムツゴロウの決闘」
ムツゴロウの雄同士の決闘
雄は巣穴の周り1〜2mが行動範囲であり、縄張りとなる。その中で求愛ジャンプをして雌の気を引く。
近くにいる雄が縄張りに侵入すると追い払うべく、背鰭を立てたり口を大きく開けて威嚇する。
闘争心の弱い雄はそこで退散するが、応戦する気満々の雄は相手と同じように背鰭を立て口を大きく開けて睨み合う。
ちなみにトビハゼは縄張りを持たず干潟を広く行動する。似たような魚であるが違いも多いので興味深い。
どちらからともなく決闘は突如開始される。
力比べで相手の力量を測り、噛みつきあいとなる。
エキサイトはあっという間に最高潮に。
ボディアタックを決めた。
泥レスの如く技が飛び交う。
泥のスプラッシュが迫力を増す。
ダイビングヘッドバットの応酬が続く。そのまま噛みつき技に発展することもあるが3秒以内なので反則にはならない?!(笑)
求愛ジャンプの時の鈍重な動きとは比較にならないほど速くアグレッシブだ。
投げ飛ばされても即座に体をひるがえして応戦体制に。
シオマネキの行司が仕切り直しに入った。(笑) そんな事はない、生息域が被るエリアも広い。
水際で突如3匹の雄が戦いモードに!寄せ波の中に突入した決戦場。
「六角川の乱」は最高潮に!!
戦う姿はまさに水を得た魚。水の嫌いなムツゴロウもこの時ばかりは魚を自覚しているのかも知れない。
ムツゴロウの雄のバトルは、求愛ジャンプの撮影よりも難しい。
求愛ジャンプは一度始まるとしばらく続くのでその個体をマークしていればすぐに撮れる。また、尾鰭の動きでジャンプするタイミングがわかるようになる。
しかし雄同士のバトルはいつどこで始まるのか予想がつきにくい。始まったのを見つけてレンズを向けても既に終わってしまった後ということがほとんど。
そう、戦いは数秒から長くても10秒程度で決着がついてしまうのである。しかも両方の背鰭が立っている時間はもっと少ない。
活発的に動き回っている雄をマークして、その縄張り内に他の雄が侵入してきたらチャンス。ファインダーを覗きながら動きを追いその時を待つ。
とても超望遠レンズで手持ち撮影でできる技では無い。三脚と動きの滑らかなビデオ雲台があってこその撮影方法。
可能であれば、より湿潤な(水際に近い)ところにいる個体を狙えば泥のスプラッシュの入った迫力ある勇姿が撮影可能となる。
バトルの盛んな時間は朝の30分程度で、今回は潮と天候(実質的な梅雨入り)の関係で7日間の撮影となってしまった為、動画が十分に撮影できなかった。
それでも初のムツゴロウ撮影で写真は予想以上の結果が出せてほくそ笑んでいる。
次回は、ムツゴロウの他の生態をご覧いただく。